フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》で、頭の布に使われた青の一つが「天然ウルトラマリン」です。かつて高価だったのは、原料の石が貴重なうえ、青い顔料を取り出すまでにも手間がかかったからです。

横を振り向く少女を描いたフェルメールの絵。頭の布には明るい青と暗い青がある
ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》(1665年頃)。額の上の明るい青から、向かって右の暗い青へ、布の色をたどってみてください。
Meisje met de parel.jpg · 作品:Johannes Vermeer / Mauritshuis, The Hague / 画像:Wikimedia Commons · Public Domain。1367×1600へ縮小しWebPへ変換。トリミング・色調整なし。

原料は、ラピスラズリという青い石。17世紀のヨーロッパでは、アフガニスタンで採掘された石が遠くまで運ばれてきました。石の中には青い鉱物だけでなく、白い方解石なども混じっています。そのまま砕けば、全部が鮮やかな青の粉になるわけではありません。

そこで、細かくした石をろうや樹脂などと混ぜ、水の中でもみ出す工程で、青い粒子を分けました。採掘、輸送、取り出す作業。その積み重ねが、天然ウルトラマリンの価格に関わっていました。取り出す工程の説明

絵をもう一度見ると、布の青は一色ではありません。白い顔料と混ぜたり、暗い下塗りに重ねたりすることで、光が当たる面と影が描かれています。高価な材料を、どう使い分けたのか。青の値段を知ると、画家の筆の運びにも目が向きます。