「印象派」と聞くと、やわらかな光や、色とりどりの筆あとを思い浮かべるかもしれません。けれど、この名前は、最初から画家たちを褒めるためにつけられたものではありませんでした。

1874年、パリで開かれた展覧会に、クロード・モネは《印象、日の出》を出品しました。メトロポリタン美術館の解説によると、批評家ルイ・ルロワはこの絵を、完成した絵画ではなく、素描や「印象」にすぎないと批判しました。この作品名をめぐる批評が、印象派という呼び名のきっかけになったのです。

青灰色の港に橙色の太陽と反射、手前の小舟を描いたモネの《印象、日の出》
クロード・モネ《印象、日の出》、1872年、油彩・カンヴァス。マルモッタン・モネ美術館蔵(4014)。橙色の太陽と、水面に短い筆あとで描かれた反射に注目してください。1874年の展覧会に出品された作品です。
Monet - Impression, Sunrise.jpg · 作品:Claude Monet/所蔵:Musée Marmottan Monet/画像:Wikimedia Commons(原出典表記:art database) · Public Domain。5773×4478から1600×1241へ縮小・WebP変換。BREWによるトリミング・色調整なし。

画面の中央より右にある橙色の太陽と、水面に並ぶ短い線を見てみてください。青灰色の港の中で、光の反射が目に入ります。同館は、この作品の特徴として、形を細かく描き込まない短い筆触と、光の効果への関心を挙げています。

同じ筆あとが、未完成にも、光を捉える表現にも見える。 名前の由来を知ると、絵の前に立つ人の見方まで作品の歴史に含まれていると感じられます。いま親しんでいる美術の名前にも、かつての戸惑いや反発が残っているのです。