二重の虹を見つけると、もう一本、その外側にもあるのだろうかと探したくなります。けれど、雨粒の中で光が反射する回数が増えても、同じ方向に虹が一本ずつ並ぶわけではありません。

短い記事で確かめた色の順序から、光の通り道、虹が円になる理由、さらに見つけにくい「三次の虹」の研究へ進みます。鍵になるのは、太陽、雨粒、見る人の三者の位置関係です。

雨粒の中で、光は何をしている?

太陽の光が雨粒へ斜めに入ると、空気と水の境目で進む向きが変わります。これが屈折です。水の中を進んだ光の一部は粒の内側で反射し、外へ出るときにも屈折します。主虹につながる光では、雨粒の中での反射が1回あります。

ここで、色を分ける役割と光を戻す役割を分けて考えると分かりやすくなります。屈折の仕方は波長によって異なり、青い光は赤い光より大きく曲がります。一方、反射によって、光は雨粒の中で進む向きを変えます。この組み合わせが、色の違う光を違う方向へ送り出します。

香港天文台の解説が指摘するのは、私たちの目に届く虹の各色は、違う雨粒の集まりから来るということです。一個の粒が目の前で七色に塗り分けられて見えているのではありません。たくさんの粒のうち、それぞれの色を目へ向けて送る位置にある粒から、光を受け取っています。

どうして直線ではなく、丸い形になる?

太陽を背にしたとき、自分から見て太陽と正反対の方向を考えてみます。虹の円の中心は、この方向にあります。主虹の赤い縁は、その中心から約42度離れた方向に見えます。ここでいう角度は、地面に対する虹の高さではなく、円の中心を向く視線と虹を見る視線の間の角度です。

中心から同じ角度だけ離れた方向を、上にも左右にもたどると円になります。NWSの説明では、雨粒で屈折・反射した光が特定の角度付近へ強く集まることが、虹の帯を作る鍵です。空に円形の雨粒の列が並んでいる必要はありません。

地上では円の下側が地面に遮られるため、弧として見るのが普通です。太陽が低いほど地上から見える弧は大きくなります。一方、NOAAの解説によると、航空機からは条件がそろえば円形の虹全体が見えます。

雲を背景に、下側へも弧が続く円形の虹。輪の一部は雲や画面の端に隠れている
NOAAが航空機から見た円形の虹として紹介する写真。下側へ続く弧が見えますが、輪の一部は雲や画面の端に隠れています。
What Causes a Rainbow? — From a flying plane, you might see a full-circle rainbow · 写真:NOAA · Public Domain。NOAA掲載の1920×1080から1200×675へ縮小・WebP変換。トリミング・色調整なし。

写真では、普段の虹なら地面の向こうへ隠れてしまいそうな下側にも、弧が続いています。虹の形を決めるには、雨粒があることに加えて、どの方向から光が目に入るかが大切なのです。

二重の虹では、何が逆になる?

アラスカの山並みにかかる明るい虹と、その外側の左右に見える薄い虹
アラスカのランゲル・セントイライアス国立公園。明るい主虹の外側に、薄い副虹が見えます。副虹の頂上は写真の外です。左右の弧で、二つの虹の赤い側を比べられます。
Double-alaskan-rainbow.jpg · 写真:Eric Rolph / Double-alaskan-rainbow.jpg · CC BY-SA 2.5。1919×1008から1400×735へ縮小・WebP変換。トリミング・色調整・人物の削除なし。加工画像もCC BY-SA 2.5で提供。

明るい主虹の外側にある薄い弧が副虹です。左右を見比べると、主虹では赤が円の外寄り、副虹では赤が内寄りにあります。写真の中で、二つの赤い縁は向かい合っています。

副虹は雨粒の中で2回反射した光ででき、主虹とは出てくる方向が違います。NWSの説明では、副虹は円の中心からおよそ50度の方向に現れ、主虹より外側に見えます。反射が増えることで光の一部がさらに失われ、色の並びも逆になります。

比べる点主虹副虹
反射回数1回2回
赤い縁外側内側
弧の位置内側外側

「上の虹」「下の虹」よりも、円の内側・外側と呼ぶほうが、弧の左右にも通じる説明になります。写真の頂上だけでなく、両端のあたりでも色の順序を追ってみてください。

3回反射した虹は、どこへ行く?

雨粒の中で3回反射してできるのが、三次の虹です。主虹と副虹のさらに外側を探す、という予想はここで外れます。三次の虹は太陽と同じ側の空に現れ、その円は太陽を中心に約41度の半径を持ちます。明るい背景の中で、薄い色の帯を見分けることになります。

LeeとLavenの2011年の理論研究は、こうした虹がどの条件で人の目に見えそうかを調べました。雨粒に当たる光の振る舞いを、光の波としての性質を含む計算など、三つの方法で比較しています。

計算では、雨粒を球とみなす場合に加えて、球から平たく変形した粒も扱いました。粒の大きさごとの数の分布、太陽光、背景の雲の色や明るさを与え、虹と背景の間にどの程度の色・明るさの差が生まれるかを検討しています。「光がその方向へ出る」と「背景から見分けられる」をつなぐための計算です。

結果は、雨粒がよく照らされ、その後ろに暗い雲があるなどの条件で、弱い虹が見える可能性を示しました。また、雨粒の形を変えると、虹のどの部分が見えやすいかも変わりました。雨粒をすべて同じ丸い粒として扱えば十分、とは限らないのです。

これは、条件を設定したモデルによる研究です。ある地域で何回に一回見えるかを数えた調査ではなく、雨が強ければ必ず見えるという結果でもありません。写真に弧が何本あるかだけで、雨粒の中の反射回数まで決めることはできません。

次に虹を見たら、どこを比べる?

まずはこの二重の虹の写真で、明るい弧と薄い弧、それぞれの赤い側をたどってみましょう。次に、円の中心が画面のどのあたりにありそうかを考えます。色の順番と丸い形を別々に見ると、光の通り道と、観察する位置という二つの説明がつながります。

空にかかる虹は、特定の場所に固定された色の橋ではありません。見る人の位置に応じて、光を目に届ける雨粒も変わります。虹の足元まで近づこうとしても、山や建物と同じような目的地としては扱えないのです。

同じ太陽の光でも、青空や夕焼けでは空気の分子などによる散乱を考えました。虹では、雨粒での屈折と反射、そこから目へ届く方向を追います。空の色を一つの仕組みで説明しきろうとせず、光が途中で何に出会ったかをたどると、見慣れた景色の違いが読めてきます。