消しゴムをかけると、鉛筆の文字が薄くなり、灰色の消しカスが残ります。紙にあった黒い色は、なくなったのでしょうか。行き先を考えると、消しカスが手がかりになります。

トンボ鉛筆の解説では、鉛筆の黒い跡は、紙の繊維やその隙間に付いた黒鉛の粒です。消しゴムでこすると、この粒が消しゴムにくっつき、ちぎれたかすに取り込まれていきます。黒鉛を消滅させるのではなく、紙から別の場所へ移しているのです。

使い込まれた棒状消しゴムの先端。白い本体に対し、先端は灰色で細かいかすが付いている
使用後の消しゴムの接写。先端に灰色の部分と細かなかすが見えます。物質の成分を分析した写真ではありません。
Used eraser tip · 写真:Rhododendrites / Used eraser tip(2014) · CC BY-SA 3.0。3264×2448から1200×900へ縮小・WebP変換。トリミング・色調整なし。加工画像もCC BY-SA 3.0で提供。

写真のように、使った消しゴムの先は灰色になります。白い紙だけに目を向けていると「消えた」と感じますが、消しゴム側も一緒に見ると、何かを受け取った側があることに気づきます。

同じようにこすって消すペンでも、フリクションでは摩擦熱によってインクが無色になります。黒鉛をかすへ取り込む消しゴムとは、見えなくなる仕組みが違います。「消す」という一つの動作の中にも、材料を移すことと、色を変えることがあるのです。