誰かにどう評価されるかが気になるとき、自分の行動と、その結果はひと続きに感じられます。古代の哲学者エピクテトスは、この2つを考える手がかりとなる区別を、『提要』の冒頭に置きました。
彼は、自分に委ねられているものとして、判断や欲求など、自分の働きに属するものを挙げます。一方、身体や財産、評判、地位などは、同じようには自分に委ねられていないとします。自分のものであるように感じる身体も、こちらに含まれるのが特徴です。
たとえば、評判には他人の判断が関わります。エピクテトスの区別に沿えば、よい評価を望むことと、相手の評価を自分だけで決められることは別です。彼が自分に属すると考えたのは、外側の結果を思いどおりにする力よりも、判断や選択の側でした。

Suburban Baths (Herculanum) · 写真:Bernard Gagnon · CC BY 4.0。縮小・WebP変換。構図の変更なし。
『提要』では、浴場へ行くときに起こりうる妨げを想像し、そこで自分がどんな心のあり方を保つか考える例も示されます。出来事を望みどおりにすることと、その中でどう振る舞うかを分ける。この区別が、彼の思考の出発点にあります。