点字は、六つの点で普段の文字の輪郭を描くものではありません。どの位置に点があるかを、決まった読み方に結びつける文字です。日本語では、母音に対応する点を覚えると、別の点を加えてカ行などを読み解けます。
ここでは、一般的な6点式の日本語点字を扱います。まず点の位置を確かめ、文字を組み立てる規則、文章を区切る空白へと進みます。記事の下の比較図では、ア行とカ行を切り替えて見られます。
六つの点は、どの順番で数える?
点字の一つの単位を「マス」と呼びます。点が盛り上がった読む面から見ると、左の列は上から1・2・3、右の列は上から4・5・6です。横一列ずつ1・2・3と数えるわけではありません。日本点字図書館の説明に沿って、位置を表にすると次のようになります。
| 高さ | 左の列 | 右の列 |
|---|---|---|
| 上 | 1の点 | 4の点 |
| 中 | 2の点 | 5の点 |
| 下 | 3の点 | 6の点 |
各位置には点があるか、ないかの二つの状態があります。六つ分を掛け合わせると64通り、すべて点がない空白を除くと63通りです。この数は、2の6乗から編集部で計算できます。
ただし、63種類の形がそのまま63文字だけを表すのではありません。前に置いた符号との組み合わせも使うので、一つのマスだけで読む場合と、続くマスまで読む場合があります。まず番号と形、その次に並び方を見る、という順序が役立ちます。
「あ」の点に何を足すと「か」になる?
日本語点字の母音は、1・2・4の位置を使います。「あ」は1の点、「い」は1と2の点、「う」は1と4の点。「え」は1・2・4の三つ、「お」は2と4の点です。
ここに6の点を加えると、カ行になります。「あ」の1に6を加えた1・6は「か」、「い」の1・2に6を加えた1・2・6は「き」です。母音の形を保ち、共通の点を加えるので、二つの文字を並べると似ている理由が見えてきます。日本点字委員会の母音・カ行の表で配置を確認できます。
この規則は、文字の形が似ているかどうかには依存しません。目で読む「あ」と「か」は別の形ですが、点字では音の組み合わせを手がかりに、共通する配置を見つけられます。
もっとも、すべての行を同じ足し算だけで作れるわけではありません。ヤ行や「わ・を・ん」などは、別の配置を確かめる必要があります。ここに付けた比較図は、ア行とカ行の十文字に絞っています。
「が」は、一つのマスに点を増やす?
「が」は、「か」のマスに5の点を付け足して一つにまとめるのではありません。5の点だけがあるマスを先に置き、その次に「か」を置きます。 前のマスが濁音であることを知らせるので、合わせて二マスです。
半濁音にも前置きの符号を使います。「ぱ」なら、6の点だけのマスを置き、次に「は」のマスを置きます。日本点字委員会の解説では、濁音・半濁音・拗音を、複数のマスを使う例として示しています。
数字にも、続く形を数字として読むための「数符」があります。日本点字図書館は、3・4・5・6の点で数符を表し、その後ろに数を表すマスを続けると説明しています。一つずつの形を覚えるだけでなく、「前の符号が何を指定しているか」を読むことも、点字の仕組みの一部なのです。
空白がないと、何が読みにくくなる?
日本点字図書館の点字図書の解説によると、一般的な日本語点字はかな文字の体系で、漢字を使わず、ひらがなとカタカナも区別しません。目で読む日本語では、漢字とかなが切り替わる場所も、言葉を捉える手がかりになります。その違いがなくなると、長い文字列のまとまりを別の方法で示す必要があります。
そこで、言葉を区切って空白のマスを置く「分かち書き」を使います。これは、読み手が好きな場所で適当に区切るという意味ではありません。単語を知っていても、文の中でどうつながっているかを考える必要があります。点訳では、文字の置き換えに加えて文章の理解が求められます。
かなづかいにも、普段の文章と異なる規則があります。助詞の「は」「へ」は、発音に対応する「わ」「え」で表します。漢字をかなに直し、そのかなを一文字ずつ置き換えるだけでは、文章の点訳は完成しません。まず短い文字の仕組みを覚え、次に空白やかなづかいを学ぶと、学習する対象の違いが整理できます。
読む面と書く面は、なぜ逆になる?

Full sized slate with stylus · Butterfy215 / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0。WebP変換のみ。720×1280、トリミング・色調整なし。同じライセンスで提供。
写真のような点字器と点筆を使う場合、紙を挟み、裏側から点を押し出します。裏返したときに凸点が読み手の側へ出るためです。名古屋ライトハウスの解説では、この方法で書く方向は右から左になると説明しています。読むときには、盛り上がった面を左から右へたどります。
ここでは、一つのマスの左右と、文章を進める方向の両方が変わります。「読む面では左上にある1の点」は、反対の面から見れば右上です。番号の付け方が別物になるのではなく、同じ点を裏から見ているのです。
下の比較図では、この左右の違いも切り替えられます。ただし、表示しているのは二文字の比較で、文章を右から左へ打つ練習ではありません。また、点字タイプライターやパソコンと点字プリンタなど、書く道具にも種類があり、すべてが点筆と同じ操作になるわけではありません。
画面で点の位置を知ることと、指で実物を読むことにも違いがあります。この図は、文字の構成を目と説明文で確かめるためのものです。配置の規則が分かると、身近な点字を見つけたときに、「何点あるか」から「どこにあり、どんな符号が続くか」へ、注目する場所を増やせます。