シートから切り離した切手をよく見ると、縁に小さなくぼみが並んでいます。このギザギザは、もともと紙にあけられていた「目打ち」という穴の名残です。隣の切手との間に穴を並べておくことで、1枚ずつ切り離しやすくしています。

穴をあける工程では、金属の針を使って紙を一定の間隔で打ち抜きます。これはリヒテンシュタイン郵便博物館の解説でも紹介されている仕組みです。穴と穴の間には、細く紙がつながった部分が残ります。そこを切り離すと、丸い穴の一部が縁のくぼみになり、ギザギザが現れるのです。

赤いジェファソンの切手2枚。中央に丸い穴が一列に並び、左端はギザギザになっている
米国の1954年発行のコイル切手2枚。中央には切り離す前の穴と紙のつながり、左端には切り離した縁が見えます。この切手の上下には目打ちがありません。
Stamp US 1954 2c Jefferson coil pair.jpg · 米国連邦政府の切手/スキャン:Stan Shebs · Public Domain。WebP変換。トリミング・色調整なし。

初めからこの工夫があったわけではありません。国立印刷局の解説によると、1871年に発行された日本最初の「竜文切手」には目打ちがなく、翌1872年から目打ち付きの切手が発行されました。1枚ずつそろった形で使いやすくするための工夫でした。

一方、切り込みからはがして使えるシール式には、目打ちのない切手もあります。図柄に目が向きがちな小さな紙ですが、縁には「1枚ずつ使う」ための仕組みも表れています。