松ぼっくりがぬれると閉じるのは、うろこ状の部分が水分を含み、曲がり方を変えるためです。この部分は「種鱗(しゅりん)」といい、乾くと外へ開きます。水分の出入りが、松ぼっくりの形を変えているのです。

フライブルク大学の解説によると、この開閉には代謝によるエネルギーを必要としません。種鱗をつくる複数の組織が水を吸い、それぞれの膨らみ方や硬さが変わることで、全体が曲がります。

マツの枝についた茶色の松ぼっくり。うろこ状の部分が外へ開き、隙間が見える
うろこが開いたヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)の松ぼっくり。2007年、英国で撮影。形の参考写真で、水分量を変えた実験の記録ではありません。
Pinus sylvestris open cones.jpg · 写真:Laurence Livermore · CC BY 2.0。縮小・WebP変換。トリミング・色調整なし。

同大学などの2022年の研究は、主にヒマラヤゴヨウの松ぼっくりを調べました。乾くと硬い繊維の束も、水を吸うと柔らかくなります。別の組織が長さ方向に膨らむ動きを受け入れ、種鱗が内側へ曲がるのです。「片側だけが膨らむ」という説明では、この連携を捉えきれません。

開閉は、種を送り出す条件とも結びついています。ぬれているときは種鱗が閉じて種を守り、乾くと開いて、風で種が散らばりやすくなります。雨粒に直接触れなくても、周囲の湿度の変化が開閉を引き起こします。