日本の時刻は、明石の時計を見て決めているわけではありません。現在の日本標準時は、情報通信研究機構(NICT)が原子時計を使ってつくっています。明石の役割を知るには、時差の基準と、正確な時刻をつくる仕組みを分けて考えます。

明石は、東経135度の子午線が通るまちです。子午線とは南北を結ぶ線のこと。明石市立天文科学館の解説によると、日本はこの経度を時刻の基準に選びました。太陽の動きを平均して一日を24時間とすると、経度15度が1時間に相当します。135÷15で、9時間の差になるのです。

大きな青い文字盤を備えた明石市立天文科学館の時計塔と、隣にある丸いドーム
明石市立天文科学館(2008年5月4日撮影)。塔は日本標準時子午線の標識を兼ねています。日本標準時を生成する原子時計の写真ではありません。
Akashi Minicipal Planetarium.jpg · 写真:PekePON/Wikimedia Commons · CC BY-SA 3.0。1400×1050へ縮小・WebP変換。トリミング・色調整なし。加工画像もCC BY-SA 3.0。

現在、世界の時刻の基準には「協定世界時(UTC)」が使われます。NICTは原子時計からUTCに合わせた時刻をつくり、それを9時間進めて日本標準時にしています。東京の小金井市で生成し、神戸には非常時に備える副局もあります。

写真の天文科学館の塔は、子午線の標識を兼ねています。東経135度は「時差」の基準。刻々と進む日本の時刻をつくるのは、NICTの原子時計です。明石の時計塔と原子時計は、それぞれ違う役割を担っています。