硬貨の縁のギザギザには、貨幣を見分けたり、偽造を難しくしたりする役割があります。造幣博物館の解説によると、かつて金貨や銀貨には縁を削って金属を取る行為を防ぐ目的などでギザが付けられました。戦後の日本では最高額面の貨幣に付ける慣習もあったといいます。同じギザでも、時代によって役割が変わっています。

構造の参照:造幣博物館の解説 · 図:BREW編集部 · CC BY 4.0。造幣博物館の説明をもとに新規作図。公式画像の転載なし。
10円貨にも、その変化が残っています。1951年に製造が始まった10円貨にはギザがありました。当時の最高額面だったからです。1957年に100円銀貨が出ると、両者を区別しにくくなり、10円貨は1959年にギザのないデザインへ変わりました。ギザの有無は、額面の大小だけで決まるわけではありません。
一方、財務省の解説では、2021年から発行された500円貨の縁に「異形斜めギザ」を採用したと説明しています。斜めのギザの一部を別の形にした、偽造防止のための加工です。日本銀行の現行貨幣一覧にも、この縁の特徴が記されています。
硬貨を手に取るときは、表裏の絵柄だけでなく縁も見てみてください。現行デザインの10円貨の滑らかな縁と、新しい500円貨の複雑なギザには、見分けやすさと偽造されにくさを考えてきた歴史が表れています。